目次
- 1.材料と道具
- 2.手順
- 3.まとめ
がんばって作ったお気に入りのソーイング作品だったのに、洗濯したらシワが寄って型崩れしてしまった…なんて残念な経験、お持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実はコットン(綿)やリネン(麻)といった天然繊維には、水に濡れると縮んでしまう性質があります。巾着袋などの小物であれば問題ないかもしれませんが、洋服などの大きな作品になると型崩れも目立ってしまいます。
この問題を解決するのが、『水通し』という作業です。水通しとは、布を切ったり縫ったりする前にあらかじめ水に浸けて縮ませておく、いわば裁縫の下ごしらえです。
もちろん洗濯をしないアイテムを作るのであれば、水通しの必要はありません。そもそも水通しができない生地もあります。特にウール(羊毛)やシルク(絹)など繊細な生地には、特別な手法での下準備が求められます。
今回は家庭でのソーイングによく使われる綿や麻の生地の下準備方法をご紹介いたします。最も基本的な水通しの手順とともに、布目をまっすぐに整える『地直し』のやり方もご説明いたします。
作品の美しい仕上がりが長持ちすると、ミシン縫いがもっと楽しくなりますよ。水通しと地直し、さっそくやってみましょう。
・綿や麻素材のお好みの布
・バケツ、または洗面器など
・アイロン
・裁ちばさみ
まず最初に、縫製前に水通ししたもの(右、無地)としていないもの(左、柄物)を比較してみましょう。どちらも綿100%のブロード生地です。右側は、複数回洗濯するうちにアイロンでは伸ばしきれないシワができてしまいました。左側は同程度の洗濯をしても型崩れがありません。
今回は幅105cm、長さ50cmのカラーリネンを水通しします。布が長すぎると作業がしにくいので、後の裁断に支障がない程度の長さに切っておくと良いでしょう。
バケツに水を張ります。
均等に水に浸るように、畳まれた布を一旦広げます。
軽く抑えて、布全体を浸します。薄手の生地は30分~1時間ほど、厚みのある生地は1時間〜半日程度、水に浸けます。洗剤は使いません。
水に染料が溶け出して濁ってきた場合は、途中で水を入れ替えます。
色移りの恐れがあるので、ひとつのバケツには1種類の布だけを入れます。
タオルで挟んで押さえ、水分を取ります。洗濯機で1分程度脱水しても良いでしょう。
軽くシワを伸ばし、広げて陰干しします。
布がある程度乾いたら、生乾きの状態でアイロンを掛けます。乾ききってしまったときは、霧吹きで水分を含ませましょう。
縦横の糸を真っ直ぐに伸ばすイメージでシワを取ります。この作業を『地直し』といいます。斜め方向に引っ張ると布目(布の織り目)が歪んでしまうので、気をつけましょう。
これで水通しと地直しの完了です。裁断または収納する前に、布が完全に乾いていることを確認しましょう。
裁縫の大切な下準備である、水通しと地直しの手順をご紹介いたしました。作業工程は決して難しくありませんが、乾燥時間を含めると半日から数日かかります。購入した生地を余裕のある時にあらかじめ水通ししておけば、作りたいと思ったときにすぐに裁断できるので便利です。
布のつけ置き時間については、目安として記載しています。麻は綿よりも繊維が固くて水分を含みにくく、その上洗濯による縮みが大きいので、つけ置き時間を長めに取ります。ガーゼやシーチングと同じ綿の生地でも、オックスフォードや帆布など繊維の隙間が狭く固い布は、比較的長時間つけておくと良いでしょう。
ラミネートなどの後加工がされている布など、水洗い不可の場合があります。そういった注意書きがあるものは、水通しもできません。水通しするべきかどうか迷ったら、販売店に確認することをおすすめします。
綿や朝と違い、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は水濡れによる収縮をしにくいので、水通しの必要はありません。下準備を手間に感じる場合は、水通し不要の生地を選ぶのも良いでしょう。
最適な下準備の方法を知り、素材を選ぶことで、作品の魅力がさらに高まります。様々な生地を手に取ってお気に入りを見つけ、ソーイングを楽しみましょう!