かぎ針で細編みのスワッチを編んでみよう!
基礎テクニック
2020年04月03日

かぎ針で細編みのスワッチを編んでみよう!

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私がはじめてかぎ針に触れたのは、小学校3年生の頃。隣の市に住む祖母はかぎ針も棒針も巧みに使いこなす編み物上級者で、私たち孫にセーター、帽子、手袋など、毎年いろいろ編んでくれたものでした。 

  

小学生の頃からかぎ針編みを、なんて言うと、孫を膝に乗せて手取り足取り編み針の持ち方から教えてくれるようなスイートなおばあちゃん像が浮かぶでしょうか。残念、私の祖母は、今思い起こすとなんだか小さい子どもの扱いに困っているような人でした。教えて欲しいと懇願しても、自分の編み物に集中していて見向きもしてくれません。 

  

それでも小さく残った毛糸玉とかぎ針を渡してくれて、くさり編みや細編みのデモンストレーションをしてくれました。「もう一度!」とお願いすると編んだものをプルプルッとほどいてくさり編みからやり直してくれて、それをコタツに座る祖母の肩越しにじっと見ていた記憶が鮮明です。 

  

見よう見まねでどうにか数種類の基本の編み方を覚え、編んだものを縫い合わせて綿を詰めた編みぐるみ的なものなど作って遊べるくらいにはなりましたが、編み物はそれっきり。祖母は私が12歳の時に亡くなり、教えてくれる人もいなくなってしまいました。 

  

再開したのは、30代に入ってから。初心者向けの本を買って基礎から学ぼうとしましたが、かぎ針を持ったらあら不思議、説明を見なくてもスイスイ編めて、自分でもびっくり!頭の中の記憶は薄れていたけれど、手先はちゃんと祖母の教えてくれたことを覚えていたようです。 

  

実は編み物自体が数年ぶりであることに加え、当時参考にしていた本やサイトはアメリカやイギリスのものばかりだったので、道具の名称や編み方、テクニックなど、編み物まわりの日本語をほとんど知らないことに気がつきました。なので気持ちは初心者さんと同じです。 

  

 

専門用語や編み物界特有の言い回しなどは使いません、というか、持ち合わせておりません。出てきたとしても説明を入れますので、かぎ針を持つのが初めての方、私のように何年も触れていないという方、そして以前やってみたけれど諦めちゃったなんて方にも、ぜひご一緒にチャレンジしていただけたらと思います。 

ジャンル:
編み物編み物

目次

  1. 1.材料と道具
  2. 2.作り方
  3. 3.まとめ

1.材料と道具

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・毛糸
・かぎ針
・糸切りばさみ
・とじ針

毛糸が包まれているスリーブは表または裏がラベルになっていて、長さや重さ、手入れの方法などの他に「ゲージ」というものが表示されています。
これは、日本でもアメリカでも同じです。

ゲージにはいろいろな意味がありますが、編み物に限定して言うと、「この毛糸はこのサイズのかぎ針で10x10cmに編むと、ヨコにこの数の編み目、タテにこの数の編み目(段)になります」という出来上がりサイズのガイドになる単位を指します。

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このラベルによりますと、私の毛糸はサイズ9号のかぎ針でヨコに12目(Sc=Single crochet)、タテに15段(R=Row)編むと、10x10cmのスワッチが出来るようです。
Single crochetとは、細編みのこと。
これは日米で差があり、日本では長編みを基準にするのが一般的のようです。

指定の通り9号サイズのかぎ針で、12目を15段、編んでいきます。

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私はこれしか持っていないのですが、これから道具を求められる方にぜひご紹介したいのが、こんなデザインもの。
柄が持ちやすくて滑りにくく、長時間編んでいても手が疲れないのです。

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では編み方です。

2.作り方

最初に、縫い物の玉留めに相当するほどけない結び目を作ります。
毛糸の端から12〜15cmくらいのところを指にかけて…

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時計まわりにぐるりと一回転半させて…

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できた輪の中へ通して…

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引き出します。

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調節可能なループができました。

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片方の糸を引くとループが小さくなります。

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ここにかぎ針の頭を入れます。

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毛糸は小指と薬指の間に挟んで人差し指にひっかけ、作った結び目のすぐ下を中指と親指でおさえます。

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こうすることで編み目(結び目)と人差し指の間の毛糸がピンと張り、常に同じテンションが保てるので編み目の大きさも均等にしやすくなります。

細編みもその他の編み方も、かぎ編みプロジェクトはたいていの場合くさり編みから始まります。
この最初のくさり編みの目の数が、ゲージのヨコの編み目の数になりますので、この場合は12目です。

ピンと張った毛糸に、かぎ針を下から時計と反対まわりにぐるっと一周巻きつけて…

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針先にかけます。

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ひっかけた毛糸を最初に作ったループを通して…

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引き出します。

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くさり編みがひとつ出来ました。

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ふたつ目を編みます。
ピンと張った毛糸にかぎ針を下から時計と反対まわりにぐるっと一周巻きつけ、針先にひっかけて…

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ループを通して…

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引き出します。

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これでくさり編みが2つ出来ました。

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ここで混乱してしまいがちなのが、編み目の数え方。
最初に作った玉留め代わりの結び目と、かぎ針の先が入っているループは、編み目としては数えません。

ピンと張った毛糸にかぎ針を下から時計と反対まわりにぐるっと一周巻きつけて、針先にひっかけて、ループを通して毛糸を引き出す、をもう10回繰り返して、12目のくさり編みが出来ました。

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この12目のくさり編みを土台に1段めを編みますが、次の段に上がるには、ハシゴが必要です。
そこでもう1回、くさり編み。
この13番目のひと目は、最初のくさり編み12目にも次の細編みの1段めにも属さない、ハシゴの役目をするくさり編みです。

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合計13目編んだので、かぎ針から数えて2つめの編み目が12番目のくさり編み。
かぎ針にかかっているループは数に入れないので、左指で示しているのが最初の細編みのポジションです。

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ここに針先の頭を入れます。

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かぎ針に2つのループがかかっている状態になります。

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ピンと張っている毛糸を下から時計と反対まわりにぐるっと巻きつけて…

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針先に近い方のループのみから引き出します。

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引き出した毛糸がかかっているので、この時点でもかぎ針には2ループ残っています。

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また毛糸を時計と反対まわりにぐるっと巻きつけて…

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今度は両方のループに通して…

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一気に引き出します。

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ひとつめの細編みが出来ました。

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となりのくさり編みの目に2つめの細編みを入れます。

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針先を入れて…

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毛糸を下から時計と反対まわりにぐるっと1回巻きつけて…

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針先に近い方のループから引き出します。
かぎ針には、2ループ。

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もう一度毛糸をぐるりと巻きつけて…

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2ループから一気に引き出します。

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次のくさり編みの目にも同様に細編みを入れます。

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これで細編み3目が編めました。

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真上からだと、くさり編みと同じに見えます。
この方が数えやすいので、混乱したらお屋根をチェックしています。

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12目まで編みました。
これで1段め終了です。

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2段めに上がる時も、ハシゴが必要です。
最後の細編みの上にくさり編みをひとつ。

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くさり編みをしたら、それを軸に手前からくるりと180度回転させて、編んだ生地を裏返します。
2段めは、逆走なのです。

新しい段の編み始めは、目の数え方に迷って誤りやすいポイントです。
どこに針先を入れたら良いのかしら?

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混乱したら、お屋根をチェック。
真上から見ると分かりやすいでしょう。
かぎ針にかかっているループは数に入れず、その隣の編み目ひとつはハシゴ代わりのくさり編みなので、2段目の最初の細編みを入れるのは矢印の編み目です。

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編み目とは言え、最初のくさり編みに入れていった1段めと違い、針先を入れるのはくさりの真ん中ではなくて、その下。
矢印の隙間なのです。

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針先を頭から入れて…

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時計と反対まわりにぐるりと毛糸を巻きつけて…

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針先に近い方のループからのみ引き出し…

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もう一度巻きつけて…

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今度は2ループから一気に引き出します。

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残りの11目にも、同じように細編みを入れていきます。

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12番目、最後のひと目も、ハシゴ代わりのくさり編みが詰まっていたりしてちょっと迷ってしまうかも…

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大丈夫、お屋根チェックで自信が持てます。

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2段めが終わりました。

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歪んだりねじれたりしていたら、少し整えてから次の段へ移ります。

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ハシゴ代わりのくさりをひとつ編んで…

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編んだ生地を180度回転させて3段目を編んでいきます。

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あとは、15段めまで同じプロセスの繰り返しです。

最後の段の最後のひと目を編み終えました。

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ここでも、縫い物で言う玉留めに当たる、ほどけないようにするための結び目の役目をするひと針が必要です。
かぎ針をループに入れたままの状態で、糸端を12〜15cmほど残してカットします。

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刺したままのかぎ針の先に毛糸をかけて…

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糸端を完全に引き出します。

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これで糸先を引っ張ってもほどけません。

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残った毛糸は、切らずに生地に埋め込んで隠します。
とじ針に毛糸を通し、2、3cmほど潜らせます。
毛糸と毛糸の間だけでなく、毛糸の中にも割って入れるとより安心。

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これでOK!

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ですが、私は念のため逆方向にも入れます。
コットン糸や極太毛糸などは同じところにさし込むと厚みが出てごろごろするので、となりの列に平行に入れます。

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ここまで来れば、ギリギリにカットしても大丈夫。

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自分でもどの角が最後だったか分からなくなるくらい、自然に糸処理ができます。

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正方形のスワッチが出来ました!

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3.まとめ

実はこれ、3回めでやっと10x10cmになったんです。最初は9cmにも満たず、次はかなり緩めに編んだつもりだったのに、それでもギュッと引っ張らないと10cmにはならず…きつめに編む癖は自覚していたけれど、スワッチを編んでみて改めてその度合いに気づかされました。

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図書館のニットサークルで出会ったアメリカ人のおばあちゃんたちに、「太いかぎ針に持ち替えれば解消するわよ」と大らかなアドバイスをもらったこともあります。自分のスワッチを基準に編み図を書き換えることも可能です。要するに、自分の傾向さえ把握していれば、盲目的に編み図に従ってサイズの合わないセーターが出来上がっちゃった、なんていうことは防げるわけです。
 
初めてさんも、ベテランさんも、改めてスワッチを編んでみると新しい発見があるかもしれません。私は久しぶりにかぎ針を握って祖母のことを思い出し、とても温かい気持ちになりました。

コースターやカゴ、バッグなど、またいろいろ編んでみたいです。

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編む、縫う、刺す、切る、貼る…ハンドメイドはどのジャンルも子どもの頃から大好きで、海外に移住した現在...
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