目次
- 1.材料と道具
- 2.作り方
- 3.まとめ
日常的に編み物をしていた十数年前、何か入れ物が必要になるとすぐに毛糸で作っていました。引き出しに入れて使う手のひらサイズのボウルから畳んだフェイスタオルが20枚ほど入るバスケットまで、用途に応じてサイズいろいろ。麻紐やコットンヤーン、リボン、布地を細く裂いたものなど、毛糸以外の素材も取り入れて実用クラフトを楽しんだものです。
ざっと見渡すと、メイクスポンジ入れに、のど飴入れに、夫の工具のパーツ入れにと、現役選手もちらほら。あまりにも生活に溶け込んでいて手作りしたということもすっかり忘れていましたが、最近編み物を再開して「そう言えば」と思い出しました。
昨日届いたステンシル用のダウバーを入れるのにちょうど良いサイズの空き缶や空き箱がなかったので、さっそく細編みで浅いミニボウルを作って収納!
入れたいものの量や大きさに合わせて底の広さも深さも自由に変えられる、とても気軽な編み小物入れの作り方です。
・毛糸
・かぎ針
・糸切りばさみ
・とじ針
サイズ調節ができるループを作ります(「かぎ針で細編みのスワッチを編んでみよう!」参照)。
ループにかぎ針の頭を入れて、時計と反対まわりに毛糸をぐるりと引っ掛けて…
ループから引き出します。
くさり編みがひとつできました。
もう一度くさり編みをします。
時計と反対まわりにぐるりと毛糸を引っ掛けて…
かぎ針にかかっているループから引き出します。
最初のループにくさり編み2つの状態です。
ボウルの底になる部分を丸く編んでいきます。
最初に作ったループ(矢印)の中に、細編みを入れます。
かぎ針の頭をさして…
時計と反対まわりにぐるりと糸をかけて…
かぎ針の先に近い方のループのみから引き出します。
かぎ針にはループが2つ残ります。
もう一度糸をぐるりと引っ掛けて…
今度は2ループから一気に引き出します。
これで細編みがひとつできました。
同様にあと5回、細編みします。
3回細編みを入れたところ。
スペースがなくなってきても大丈夫。
最初に作ったループは調節可能なので、糸端を引き入れれば…
大きくなって残りの細編みも入れられます。
細編みが6つ入りました。
ループの根元を押さえて糸端を引いて絞り…
丸く整えます。
最初の細編み(1)と最後の細編み(6)をつないで、ギャップを埋めて環状にします。
1にかぎ針を入れて…
糸をぐるりと引っ掛けます。
かぎ針には3ループかかっている状態です。
引っ掛けた毛糸を3ループから一気に引き出します(引き抜き編み)。
ここから2段めを編み始めるのですが、ぐるぐる渦巻き状に編む際にありがちな失敗を防ぐため、「段が変わったよ」のしるし(マーカー)をつけます。
しるしつけには段数マーカーというとても便利な編み物用品があるのですが、ここではクラシックに別の色の毛糸を使いましょう。
巻き戻しまして、6つめの細編みを入れたところ。
最初の細編み(1)と最後の細編み(6)の間にマーカーの毛糸を掛けます。
浮かないように指で押さえます。
ここからは、マーカーなしでつないだやり方と同じです。
1の編み目にかぎ針を入れて毛糸を引っ掛けて…
かかっているループすべてから一気に引き出します。
最初と最後の細編みがつながり、ぐるぐる丸く編んでいくベースができました。
2段め最初の細編みは、1段めの最初と最後の細編みをつなぐために引き抜いたところと同じ編み目に入れます。
2段めの最初の細編みが入ったところ。
2つめの細編みも、同じところに入れます。
2段めの最初の目に、引き抜き編み1つと細編み2つが入った状態です。
残りの5目にも、それぞれ2つずつ細編みを入れていきます。
合計12目の細編みを入れると、マーカーをつけた編み目の手前に来ているはずです。
次は最初と最後をつなぐ作業です。
マーカーの通った編み目は2段めのひとつめの細編みではなく、輪をつなぐために入れた引き抜き編み。
これを飛び越えて、ひとつめの細編み(矢印)にかぎ針を入れます。
その前に、3段めの最初と最後をつなぐ目印をつけるため、マーカーを渡します。
どちら側からでも良いですが、片一方のマーカーの糸端をつまんで…
指にかかっている毛糸にかぶせるように反対側に倒します。
最初の細編みにかぎ針の頭を入れて、時計と反対周りにぐるりと糸をかけて…
かぎ針にかかってる3つのループから一気に引き出して引き抜き編みをします。
最初に作った6目それぞれに2つずつ細編みを入れたので、2段めは12目になっています。
3段めを編みます。
引き抜き編みをしたところと同じ目にかぎ針を入れて…
3段め最初の細編みを入れます。
同じ目に、細編みをもうひとつ。
次の目には、細編みをひとつだけ。
最初の目に引き抜き編み1回と細編み2回、2つめの目に細編み1回で、合計3つの細編みが入った状態です。
引き抜き編み(黄色のマーカーの毛糸が通っているところ)は数えないので、あと10目あります。
次の10目に入れる細編みのプランです。
ブルーの数字は目の番号、白い丸の数字は入れる細編みの回数です。
3、5、7、9、11の奇数には細編み2つずつ、4、6、8、10、12の偶数には細編みをひとつずつ編み入れていきます。
12番めの目に細編みをひとつ入れたら、マーカーを反対側に渡して…
3段めのひとつめの細編みに引き抜き編みをしてつなぎます。
ベースの12目のうち、奇数番には細編み2つずつ、偶数番には細編み1つずつ入れたので、6目増えて合計18目になっています。
4段めのプランです。
引き抜き編みをした目(1)に細編み2つ、次(2)はひとつ、その次(3)もひとつ。
これを繰り返してふたつ置きに目を増やしていきます。
4段めの最後の細編みを入れたところ。
マーカーを反対側に渡して…
4段めの最初の細編みにかぎ針を入れて糸をかけ、一気に引き出します。
18目のベースに2つ置きに増し目をしたので、6目増えて合計24目になっています。
5段めのプランです。
今度は3つ置きに増し目をしていきます。
パターンが見えてきましたでしょうか?
段を上がるごとに、増し目をする編み目の間の細編みの数がひとつずつ増えていくのです。
それに従い、段を編み終えた時の目数も規則的に6目ずつ増えていきます。
ですので、5段めを編み終えると30目。
6段めのプランは、4つ置きに増し目をして(2、1、1、1、1、2、1、1、1、1、2、1、1、1、1、2、1、1、1、1…)、合計36目でフィニッシュとなります。
頭の中で(時には声に出して)、2、1、1…と呪文のように唱えながら編んでいるのですが、数が大きくなると混乱してきます。
途中で電話が鳴ったり宅配便が来たりして、席を離れる時は覚えていられる自信満々なのですが、実際に戻ってくるとすっかり忘れてしまっています。
日本の「正」に当たる、タテ線4本を斜め線1本で消して5と数えるタリーで軌道に乗っているつもりでも、ボケーっと編んでいると「あれ、さっき段を変える時、私、線引いたっけ?」なんてこともあって、それじゃあ意味がありません。
手を動かして編み進めている時間よりも目を数え直したりほどいてやり直したりする時間の方が長いなんて情けないこともあったのですが、ステッチカウンターを使うようになってからは迷いなし!
本来はニットをする時に棒針を刺して段数を数えるために使うのですが、かぎ針でも邪魔になりません。
段数や編み目ではなく、あくまでも増し目と増し目の間の細編みをひとつ入れる編み目の数をカウントしています。
30〜40目くらいの小さなボウルならいいけれど、増し目と増し目の間が10目以上になるような大きなカゴを編みたい時は重宝です。
底の直径が希望のサイズになったら、マーカーのところでストップします。
私は小さなボウルが欲しいので、42目になったところ(7段)で止めました。
最後の段の最初の細編みに引き抜き編みをして、つなげます。
同じ目に、細編みをひとつ。
ここまでは底の部分の編み方と同じですが、ここからは増し目をしないでどんどん細編みをしていきます。
42目で底を編むのをストップしたので、一周回って戻ってきても最後は42目。
マーカーの通った引き抜き編みの目は数えずに飛び越えて、最初の細編みに引き抜き編み。
同じ目に細編み。
残りの目にもひとつずつ細編みを入れていきます。
これを繰り返して何段か編んで好みの深さになったら、糸を切って処理します。
12、3cm残すとやりやすいです。
とじ針を使って編地に埋め込んで隠します(「かぎ針で細編みのスワッチを編んでみよう!」参照)。
あっという間に毛糸のボウルができました。
深く編んで、縁を折って使うのも気に入っています。
今回はステンシル用の小さなダウバーを10個セットにして収納したくて、このサイズで編みました。
底を丸く編んで、増し目をせずに編み上げて作る小物入れ。とても単純なプロジェクトだけれど、バスケットやバッグの作り方はここから派生しているものが多いんです。
憧れの大物にチャレンジする前に、ぜひ練習代わりに作ってみてください。
目の数え方に自信が持てると作る楽しさが違ってきます。