目次
- 1.刺しゅう枠
- 2.刺しゅう糸
- 3.刺しゅう針(フランス刺しゅう針)
- 4.布地
- 5.はさみ
- 6.チャコペン、チャコペーパー
- 7.針山
- まとめ
刺しゅうをやってみたいけれど、最低限何があれば始められるのかな?と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。私も刺しゅうというものに初めて興味を持った時、何も分からずに要りそうなものを100均で買い揃えていました。良し悪しもわからないまま購入してしまい、後に使いづらさに気づいて処分したものもたくさんあります。
何をするにも初期投資は低く抑えたいものですよね?たとえ興味があっても、それを趣味として続けられるかどうかは実際にやってみないと分からないものです。最初から高いものを買い揃えることにはちょっと抵抗があるけれど、かといって安物買いの銭失いも避けたいところ。
そんなジレンマを解消すべく、フランス刺しゅうを始めるにあたって揃えたい最低限の道具と材料をご紹介したいと思います。
私の刺しゅう歴は5年ほど。刺しゅうしない日はほとんどない私がおすすめする、「コレ買っておけば損はさせないよ!」という道具と材料を厳選いたしました。あくまで個人的見解のため合う合わないは人それぞれあるかと思いますが、参考にしていただければ幸いです。
まず揃えたい、基本の道具と材料7選
1.刺しゅう枠
2.刺しゅう糸
3.刺しゅう針
4.布
5.裁ちばさみ、糸切りばさみ
6.チャコペン、チャコペーパー
7.針山
以上の道具があれば、刺しゅうは誰でもすぐに始められます。ひとつずつ解説しながら、私のおすすめの道具をご紹介いたしましょう。
どなたも一度は目にしたことがあるであろうあの丸い枠のことを、刺しゅう枠といいます。
厳密には、楕円形など丸ではないものもたくさんあります。針を刺しやすくするために布をピンと張る、刺しゅうをするための基本中の基本の道具です。
刺しゅう枠には、大まかに木製(ヒノキなど)、竹製、そしてプラスチック製があります。サイズは一般的に使われるものですと、8cmから15cmのものがあります。
さて、ここで既に刺しゅうを始めるにあたって「???」と頭に浮かんでいる方は多いのではないでしょうか?サイズも素材もいろいろあって、「一体何を選べばいいの?」と思われることでしょう。完結にお教えします。
初心者さんにちょうどいい刺しゅう枠のサイズは、8〜10cm。素材は木製がおすすめです。アルファーやCLOVERなどのヒノキを使ったものが良いでしょう。
私の愛用アイテムは、これです。
基本的に刺しゅうは片手で枠を持ち、もう片手で針を刺し進めるスタイルで行います。使用する刺しゅう枠が大きすぎるとそれを支える方の手が疲れやすくなってしまうので、8〜10cmのほどよいサイズがベストなのです。
大きな布全体に刺しゅうを施す場合でも、刺しゅう枠を少しずつずらしながら刺していけば小さいサイズでも十分に事足ります。大きな刺しゅう枠が必要なのは、よほど図案が大きい場合や、またはひとつの布に一度に複数のモチーフを刺したい時などです。
これから刺しゅうを始められる方は小さな図案で練習されると思いますので、枠もできるだけ小さなサイズを選びましょう。日本には「大は小を兼ねる」ということわざがありますが、刺しゅう枠には当てはまらないと覚えておくと良いかもしれません。
木製の刺しゅう枠をおすすめする理由は、壊れにくく、半永久的に使えるからです。木製の刺しゅう枠の多くには、ヒノキが使われています。末長く愛用できるため買い替えの必要がなく、長い目で見ると非常にコスパが良いのです。
木特有のしなりが布にフィットしやすく、大変使いやすいのも魅力です。そして使い込むうちに木の色が変わって味が出てくるところなども、木製の枠をおすすめしたい理由です。
適度に人の油が付着していくことで、どんどん自分仕様に使いやすく成長していきます。自分の刺しゅうの上達とともにまるで刺しゅう枠もゆっくりと育てているような、そんな感覚になります。
100円ショップなどでよく目にするプラスチック製の刺しゅう枠も、使えないことはありません。ただしプラスチック素材はどうしても布が滑りやすく、刺しゅうがしづらいのが難点なので初心者さんにはおすすめしません。
最近は竹製も多く目にします。竹自体の歪みが出てしまうので、個体差が大きく竹と竹の間に隙間が空いたものも多い印象です。隙間があるとどうしても布がずれてしまいますので、やはり木製が一番使いやすいと感じます。
利点はお値段。木製より安価に販売されているのが竹製です。昨今、木製枠が手に入りにくくなった事情もあり、竹製の流通が増えて手芸店でも数多く見かけるようになりました。
刺しゅう愛好家さんには、「プラスチック製が好き!」、「竹製が好き!」という方もいらっしゃることと思います。お好みは人それぞれ。ご自分が使いやすいものを選び、長く愛用されると良いでしょう。
一番よく使用される刺しゅう糸は、25番刺しゅう糸です。
手芸屋さんの刺しゅう糸コーナーを見ても、一番多く陳列されているのがこの25番です。刺しゅう糸は、6本の細い糸が緩く撚り合わされて1本の状態になっています。
ひとつの束から「2本どり」または「4本どり」など必要な本数を引き出し、ひと揃えにして使います。1束は約8mです。
刺しゅう糸には、他にも5番刺しゅう糸、ラメ糸、またはウール糸などがあります。種類はあれど、最初に覚えるものは25番刺しゅう糸のみで良いのではないかと思います。
刺しゅう糸には、有名なメーカーがいくつかあります。
・DMC(ディーエムシー、フランス製)
・Cosmo(コスモ、日本製)
・Olympus(オリムパス、日本製)
・Anchor(アンカー、ドイツ製)
刺しゅう糸を束ねているラベルの表示を見れば、どこのメーカーのものかひと目で分かるようになっています。
私はアンカーの刺しゅう糸のみ出会ったことがなく使用したことがありませんが、他メーカーの使用感に違いはさほどないと感じています。上記メーカー品の中でお好きな色を見つけると良いと思います。
私はメーカーで決めるのではなく、実際に色を見て可愛いと感じたものを買うスタイルを取っています。微妙な色の違いを比べながら、「こっちがいいかな?」、「それともあっちがいいかな?」とお買い物をするのはとても楽しいですよ。手芸店によりお取り扱いのある糸は異なってきますので、お近くの手芸店に立ち寄った際にご覧になってみると良いでしょう。
「刺しゅう針ってそもそも普通の縫い針と何が違うの?」と思われる方が多いのではないでしょうか?私も実際、初めはそう思っていました。大きな違いは、針穴の形です。手縫い針の穴は丸いですが、刺しゅう針の場合は縦長なのです。
フランス刺しゅうの手法の多くは、糸を2~3本合わせた状態でステッチをします。数本の針を一度に針穴へ通すわけですから、針穴は縦長のほうがもちろん糸を通しやすいですよね。刺しゅうに慣れてくると、2〜3本取りの刺しゅう糸は糸通しを使わずに針へ通せるようになります。
フランス刺しゅう針は、様々なメーカーから出ています。私のおすすめは、クロバーフランス刺しゅう針です。中でもNo.7〜10の取り合せの商品が使いやすいと感じて愛用しています。
フランス刺しゅう針は、ステッチで使う糸の本数によって太さや糸通し穴の大きさが異なります。
大体の刺しゅう針のパッケージには、「何本取りだとこれを使いますよ」という表記が載っています。
No.3 →6本取り
No.4→5~6本取り
No.5→4~5本取り
No.6→3~4本取り
No.7→2~3本取り
No.8→1~2本取り
No.9→1本取り
No.10→1本取り
No.9とNo.10は糸通し穴がとても小さいので、私は糸通しを使っています。
厳密に何本取りだからこれを使わないといけない、と考える必要はありません。あくまで目安の表記です。ご自分が使いやすい針のサイズを使われると良いと思います。ご自分の感覚で使いやすい針を使いながら、刺しゅうを楽しみましょう。
刺しゅうをする際、必ずしも刺しゅう用として販売されている布を使わなくてはならないということはありません。言ってしまえば、針が通りやすい布であればどんな布にも刺しゅうは可能です。これから刺しゅうを始める初心者さんには、ほどよく目の詰まった綿の布地がおすすめです。
100均の端切れコーナーにも刺しゅうができる布がたくさん出ているので、まずはそこからお試しされるのも良いでしょう。
もちろん無地、柄物問わず刺しゅうはできます。図案を本などから写して刺しゅうする場合は、無地の白生地を1枚選んでおくと良いでしょう。
初心者さんにあまりおすすめできない布は、ガーゼ生地やタナローン生地でしょうか。タナローンは有名な生地ブランドのリバティ社がよく使用している、とても薄くて目の詰まった生地です。刺しゅうをすること自体に問題はないのですが、布が薄いため刺しゅう枠にはめても布がヨレやすいのです。タナローンは中級者向けの生地と言えるでしょう。
刺しゅうを始めるにあたって用意したいはさみは、2種類。ひとつは刺しゅう糸を切るために使う糸切りばさみ。もうひとつ欲しいのは、布を切るための裁ちばさみです。
糸切ばさみには、先端が細かいものが刺しゅう作業に向いています。
私が普段使っている糸切ばさみは、DMC社のコウノトリモチーフのものです。
糸切ばさみ(シザー)は、刺しゅうグッズの中でも特におしゃれでデザイン性の高いものが多いアイテムです。うさぎや白鳥のモチーフや、アンティーク調デザイン、カラーが可愛いものなど、探せば沢山見つかります。刺しゅうをする際のデスク回りが可愛いと刺しゅう意欲も上がりますので、可愛いはさみもアイテムのひとつに取り入れられると良いでしょう。
小学生の頃に使った裁縫箱に入っているようなものももちろん有効です。私は歳の離れた兄のお下がりを貰ったので、かれこれ30年程前に購入したであろう裁縫箱の中身をいまだに現役で使っています。裁ちばさみや和ばさみは今も毎日のように使っていますし、これからも使い続けます。
チャコペンは、図案を直に布に書く時に使用します。消えやすいものから消えにくいものまで、様々な種類のものが売られています。
私がおすすめするチャコペンは、ダイソーの商品。時間が経てば自然に消え、さらに水と専用消しペンを使えばすぐに消したい部分を消せる優れたチャコペンです。100円だからと侮るなかれ。すごく小さくて細かい図案には向きませんが、ある程度の図案には対応できると思います。
細いペン先がお好きな方には、手芸店で販売されているチャコエースがおすすめです。
こちらも水や専用消しペンで消すことができます。
チャコペーパーは、本などの図案を布に転写する時に使います。
本の図案を写す際は、コピーをするかトレーシングペーパーを使って上からなぞって図案をあらかじめ用意しておく必要があります。
チャコペーパーも水で消えるものがおすすめです。正直、これ一択!と言っていいほどおすすめしたいアイテムがあります。クロバー社のチャコピー片面クリアータイプです。
中に青いチャコペーパーと赤いチャコペーパーが入っており、布の色に合わせて使い分けることができます。
こちらを使う際は、インクの出なくなったボールペンを用意します。湿気に弱いので、保管は必ず密閉が必要です。
強く圧をかけながら図案をなぞる必要があるため、コピーした図案がボロボロになります。セロハンなどを図案の上に置いてなぞるとコピーした図案も破れにくいと思います。
針山はなんでも構いません。使い慣れたものがあればそれでよし。お好きな針山を使いましょう。
私は自分で作ったオリジナル針山で毎日刺しゅうを楽しんでいます。ご自分で刺しゅうをして針山に仕立てると、より愛着が湧きますね。刺しゅうに慣れてきたら、ワンポイント刺しゅうをした針山を作ってみるのも良いと思います。
刺しゅうを始めたいと思うきっかけは、人ぞれぞれ。趣味を何か見つけたいなと思ったとき、素敵な作品を見て私も作ってみたいなと思ったとき、誰かのためにオリジナルのものを作ってあげたいと思ったとき…
きっとこのマガジン記事を読んでくださっているみなさんも、それぞれいろんな願いや思いを胸に刺しゅうに興味を持ってくださっていることでしょう。
やってみたいけれど、はて、どこからスタートしたら良いのやら、何が必要なのかも分からない。そんな初めてさんのためのガイドになるよう、「これだけは必要!」という最小限の道具と材料をご紹介いたしました。
最初は刺しゅうキットで練習するのも良いでしょう。図書館で刺しゅうの本を借りて、図案を写してやってみるのもいいですね。今はYoutubeを検索すれば、たくさん刺しゅうの動画も見つかります。
小さな線が合わさってひとつの絵になっていく。同じ図案でも刺す人が変われば、まったく違う表情になる。そこが刺しゅうの楽しいところです。
最初からうまく刺せる方なんていません。すこしずつコツコツと刺しゅう時間を楽しむことでどんどん上達していきます。焦らずゆっくりと刺しゅうを楽しんでいきましょう。