目次
- 1.材料と道具
- 2.作り方
- 3.まとめ
成人してから最初に足を踏み入れたハンドメイドのジャンルは、刺繍でした。ある年の初夏の日本帰省中、本屋さんの店頭で目に止まった1冊の手芸本に載っていたプロジェクトにときめいたのがきっかけです。それは、赤ちゃんのお名前や生年月日、出生時の体重や身長をキャンバスにクロスステッチで入れるというものでした。
予定日が半年後の親友への出産祝いに十分間に合う!と意気込んで本を購入し、刺繍の道具も一式揃えたのですが、結果は惨敗。思うようにいかず、結局諦めてベビー用品店でお名前を入れてもらったセミカスタムオーダーのブランケットを贈ったのでした。
刺繍のことなどすっかり忘れていた翌年の春、なぜかいきなり刺繍ミシンを衝動買い。欲しいとも買おうとも微塵も思っておらず、たまたまデパートの売り場を通りかかってその場で決めた、正真正銘の衝動買いです。
動機はずっと謎でしたが、ある日、「もしやあれは潜在的な出産祝いへのリベンジのつもりだったのでは?」と閃いて合点がいったのでした。
ミシン刺繍とソーイングに夢中になり、そこから編み物、ジュエリー、ペーパークラフトなどなど手当たり次第にハンドメイドを楽しむようになり、手仕事の刺繍とクロスステッチにも回帰したという経緯があります。
私の刺繍への興味のきっかけになった当時の赤ちゃんは、すでに中学生。そんな長い年月を経て、いま再び夜な夜なチクチクの日々を迎えている今度の理由は、マスク作りです!
無地のリネンにスタンプを押し、画像の線をなぞるように主にバックステッチで刺していく方法です。
絵心がなくても可愛い刺繍ができる!図案も一瞬で転写できる!我ながら名案と満足して、久しぶりの刺繍を楽しんでいます。
・マスクにする生地
・マスクの型紙(こちらでダウンロード可)
・布用しるしつけペン
・裁ちばさみ
・スタンプ
・インクパッド
・クリアスタンプの場合はアクリルブロック
・刺繍針
・刺繍糸
・刺繍枠
・糸切りばさみ
生地に型紙を置いてしるしをつけます。
あまり小さい生地だと刺繍枠にピシッと張れないので、裁断は刺繍の後にします。
スタンプを押します。
きつねさんを使いましょう。
クリアスタンプは柔軟性のある透明の樹脂でできています。
使いたいピースをシートから剥がします。
そのままだと柔らかくて扱いにくいので、アクリルブロックにマウントします。
ぺたぺた素材なので接着剤などを使わなくてもピタっと貼り付いて、剥がすのも簡単です。
貼って剥がして何度でも使えます。
スタンプしたところは糸で見えなくなるので、水で消えるインクでも消えないタイプでもどちらでもOK。
はみ出しても目立たないよう、刺繍糸と似た色を選ぶとよいでしょう。
インクが薄いと見にくいし、生地との相性によっては滲みの心配もあるので、あとで裁断してしまう端っこに試し押しすると良いと思います。
マスクのワンポイントを入れたいところにスタンプします。
刺繍枠にセッティングします。
刺繍枠は2パーツ構成になっています。
内側のひと回り小さい方の枠を平らな作業台に置いて、その上に生地を被せます。
その上から、図案が真ん中に来るように外側の大きい方の枠を被せて、枠と枠の間に生地を挟み込む形で固定します。
外側の枠にはネジがついていて、生地の厚さによってサイズを調節できます。
ネジを閉めて、ピシッと張ります。
指で叩くと太鼓のようにポンポンといい音がするくらいしっかり張ると、刺しやすくなります。
刺繍糸にはいくつか種類がありますが、最も一般的な25番を使います。
長〜い糸が6本の束になっています。
これを適当な長さにカットして使います。
私の場合、欲張ると確実に絡まってしまうので、肘から指先の長さというマイルールを決めています(今改めて測ってみたら、43cmでした)。
1本取りから6本取りまで、用途や好みによって使う糸の本数を変えます。
スタンプが小さめなので、ここでは2本取りで刺します。
束から2本一気に抜くと絡んでしまうので、1本ずつ引っ張ります。
引っ張り出したら2本揃え直します。
針穴に通します。
では、お腹の部分から始めましょう。
ここはバックステッチでスタンプした線に沿って刺していきます。
裏から針を刺します。
表から針を引き出します。
糸は引っ張って、裏にこれくらい残しておきます。
糸を出したところから2mmくらい先に針を刺して…
糸を裏へ引き戻します。
最初のステッチが入りました。
次のステッチは、最初のステッチの2mm先から針を出します。
糸を表に引き出して…
最初のステッチを差し入れた同じところに針を刺します。
2ステッチがつながっています。
これを繰り返していって、ボディをぐるりと囲みます。
裏はどうなっているかと言いますと、針を表に出す時に裏側に出来たループに糸端がくぐるようにして引いて…
止めています。
これで十分玉留めの代わりになっています。
裏から表へ針を刺すたびにループの中に巻き込んでいくと…
自動的にきれいに処理されていきます。
きつねさんのお尻の辺りに来る頃には…
こんなふうになっています。
ここまで長くなくても、最初の2、3針くらいで切ってしまっても大丈夫です。
ハンカチなどと違い、マスクは裏地で隠れてしまうのできれいな処理は必要ないかもしれませんが、常に裏側をすっきりさせておくことで進行中の糸が絡むのを防ぐことができます。
ボディをぐるり。
このままきつねさんの顔に進んでも良いですが、糸が短くなくなってきました。
最後の糸端は、すでに入っているステッチで処理できるので簡単です。
生地を刺してしまわないように気をつけて、裏のステッチにからめます。
これで十分玉留めと一緒です。
邪魔になるので切ってしまいます。
一度始めたらリズムよくどんどん進められるように、私はこうやって何本かの針に糸を通してピンクッションに刺し、スタンバイさせておきます。
最初に束をカットして引き抜いた時、3本の針に糸を2本ずつ通しておきました。
残りの糸が絡まったり、間違ってゴミと一緒に捨ててしまったりというのも防げて一石二鳥です。
次はしっぽの模様を刺します。
新しい糸での刺し始めも、すでに入っているステッチをベースに固定すると楽です。
生地と糸の間に針をくぐらせて…
もう一度同じ側からくぐらせて…
糸を引いてからげます。
しっかり固定されました。
尻尾の模様は、ランニングステッチで入れます。
裏から針を出して、インクのところを隠すように刺し進めます。
並縫いと一緒です。
本来は裏と表のステッチの長さが同一なのがランニングステッチの理想ですが、ここではスタンプのラインに沿っているので表が長く、裏が短くなっています。
すべてのラインにステッチが入りました。
背中の模様もランニングステッチで入れましょう。
しっぽの先から背中までは直接刺すにはちょっと距離があるので、すでに出来ているステッチの下をくぐらせて移動します。
背中の模様もランニングステッチで入りました。
次は足を刺しましょう。
ここはちょっと違います。
まずは、背中の模様から裏のステッチをくぐって足の付け根へ移動。
足の付け根から針を出して…
バックステッチで足の先へ。
ここは、サテンステッチという刺し方が適しています。
片方の端(右)から針を出して…
反対側(左)の端へ。
最初のステッチが入ったところ。
最初のステッチのすぐとなり(下)にまた右から針を出して…
左の端へ。
これを繰り返して、言ってみれば面を線で埋めるのが、サテンステッチです。
サテンステッチも、裏と表が同じに見えます。
残りの足とお鼻はサテンステッチ、頭の模様はランニングステッチ、残りはすべてバックステッチで入れられますね。
それ以外が必要なのは目でしょうか。
目は、フレンチノットで入れます。
裏から針を出して…
糸も引き出したら、針先にぐるぐると巻きつけます。
そのまま針先を目に刺します。
ぐるぐる巻いた糸を針の根元に寄せるようにして引っ張ります。
引っ張った糸を押さえたまま、針を裏から引き戻します。
輪が小さくなってきたら押さえていた手を離して、糸を完全に裏へ引き出します。
表にノットが残り、目が入りました。
お髭は2本取りでは太過ぎてくっついてしまうかなと思ったので、1本取りで刺すことにしました。
バックステッチでお髭を入れました。
ひたいの模様も細かいので、1本取りにしました。
刺繍が終わったら、あとは基本の立体マスクの作り方と同じです!
こちらは同じスタンプセットのくまさんを使ったもの。
すべて1本取りにしています。
しかさんも、1本取りです。
セットの残りのふくろうさんでも作ろうかな?
束の糸はそのまま保管すると絡んでしまうので厚紙などに巻いていましたが、糸巻き台紙がカットできるダイを持っていたことを思い出してさっそく使いました。
色番号の入ったラベルも一緒に巻き込んでおけば、買い足したい時に糸の切れ端を持って行って色を比べながら探すなんてことをしなくてもいいですね。
私の住むカリフォルニア州サンディエゴでは、公の場でのマスクの着用が義務化されました。違反者には罰金1000ドルとのこと。私のマスク作りもしばらく続きそうです。
好きなブランドのスタンプを図案にして、家族や友人たちにも作って送ろうと思います。