目次
- 1.材料と道具
- 2.作り方
- 3.まとめ
インクをつけてポンと押すだけで凹凸模様がペーパーに再現できるスタンプは、プリンティング(印刷)メソッドの中でも最も手軽で庶民的な方法のひとつです。
カードを贈り合う習慣が根付いているアメリカでは、このスタンプを使ったカード作りがクラフト・手芸のジャンルとして確立しており、材料も道具も豊富に揃っています。
スタンプを使ったカード作りを始めて10年以上になりますが、その間、流行を追って新しい技にチャレンジしたり、インクをつけて押すだけの原点に回帰したりを繰り返し、だんだんと自分の好きなデザインや得意・不得意な手法が見えてきました。
今日ご紹介するのは、複数のパーツを別の色のインクで重ねていってひとつの画像を仕上げる、レイヤリングスタンプ(Layering Stamp)。3層にも4層にもなったリアルなお花や動物のレイヤリングスタンプはきっちり重ねるのがなかなか難しく、実は私の不得意分野のひとつでもあるのですが、中には究極シンプル版もあります。
2レイヤーだけの、しかも向きが合っていなくても多少ずれてもちっとも気にならない、なのにお洒落で可愛いバラのレイヤリングスタンプを使って、お礼のカードを作ります。
・レイヤリングスタンプ
・THANK YOUのフレーズスタンプ
・アクリルブロック
・インクパッド(濃淡が表現できるもの)
・白のカードストック
・2つ折りカード
・テープのり
マスキングテクニックを使う場合
・ふせん
・はさみ
レイヤリングスタンプの2ピースをアクリルブロック に貼り付けます。左はボディになるピース、右は花びらのディテールのピースです。
インクには、同じまたは近い色相で濃淡が表現できる2色を選びます。
たとえばここで使うのは、「ピンクとレッド」。
「濃いピンクと薄いピンク」、「ブラックとグレー」なども該当します。
ピンク(薄い方)のインクで本体のピースをスタンプします。レイヤリングの最初の1層です。
次に、花びらのディテールのピースにレッド(濃い方)のインクをつけて…
重ねます。2層めです。
本来は重ねる向きが決まっているようですが、このデザインに限っては無視してしまってもあまり気になりません。
2層のレイヤリングのバラが出来ました。
イエロー&オレンジ系でもスタンプしてみましょう。
最初は黄色(薄い方)で1層めの本体を。
オレンジ(濃い方)で2層めのディテールを。
こちらもうまくレイヤーになりました。
2色の濃淡が近すぎるとディテールが本体に紛れて見えにくくなりますし、逆にあまりにもかけ離れていると取ってつけたような印象になってしまいます。
インクによっては時間が経つとなじんでふんわり薄くなることもあるので、試し押して様子を見てからお決めになると良いと思います。
では、レイヤリングのバラのスタンプ大小を使って、実際にお礼のカードを作ります。
真ん中に「THANK YOU」のスタンプを入れます。
「THANK YOU」を囲むように、内側から外側へと本体のピースをピンクのインクでポンポンとスタンプしていきます。
全体にスタンプが入りました。
次は2層めのディテールのピースをレッドで。
インクによっては滲むこともあると思いますので、その場合は最初のインクが乾くのを待ってから2層めを続けます。
カード全体にレイヤーのバラが入りました。
イエロー&オレンジで、同じデザインの色違いカードも作っていきます。
スタンプセットに入っていた葉っぱのピースもアクセント的に使いたいのですが…
上からスタンプしてしまってはせっかくのバラに重なって色が濁ってしまいます。
マスキングテクニック(スタンプの基本テクニック:マスキング)で解消できます。マスク(覆い)を作るには、弱粘着性で薄い素材のふせんが大変便利です。
粘着性のある部分に本体をスタンプします。
インクは何でもOKです。
複数のマスクを一度に作るため、数枚重ねたまま一緒に剥がします。
輪郭に沿って切り取ります。
1枚ずつ剥がして、カードのお花を覆うように貼り付けます。
葉っぱをスタンプします。
手首を曲げたりスタンプの向きを持ち替えたりするよりも、ペーパーの方を回しながら位置を変えていくとよりスムーズに作業できます。
全体にスタンプしたら…
マスクを剥がします。
ドキドキで楽しい瞬間です。
マスキングテクニックのおかげで、バラの後ろ側に葉っぱがあるような奥行き感が生まれました。
イエロー&オレンジの方にも葉っぱを入れましょう。
色違いのカードができました。
2つ折りにした焦げ茶色のカード台紙の表紙に貼り付け、完成です。
違う色のインクで複数のピースを重ねて楽しむレイヤリングスタンプ。中には少しでもずれるとがっかりしてしまうような緻密なデザインのものもありますが、探せば失敗する方が難しいような単純なシェイプのものもあります。今回使ったバラが良い例です。
スタンプにはいろんな種類があります。ぜひいろいろ試してみて、お好みのスタイルを見つけてカード作りに取り入れてみてください。