目次
- 1.材料と道具
- 2.作り方
- 3.まとめ
トーンオントーン(tone on tone)という言葉を耳にされたことはありますでしょうか。ファッションやアート、インテリアコーディネートなどに使われる配色方法のひとつで、同じ色相のカラーに明暗や濃淡で変化をつけるコンセプトを指しています。
トーンオントーンはペーパークラフト用語でもあります。スタンプに限定して定義すると、単純に「カラーペーパーに同系色のインクを使ってスタンプをする」というのがトーンオントーンテクニックに当たります。
白いペーパーにさまざまな色相のインクでスタンプするいつものカラフルなクラフトと違った、同系色でまとめるトーンオントーンスタンピング。派手さはないけれど、カードやアルバムページを作っていると「これこそ欲しい雰囲気」という場面が多々あります。
使う材料や道具は同じでも、ペーパーやインクの選び方にはまた別の注意やコツが必要です。アルバムページの土台作りを例に取り、スタンプの基礎テクニックのひとつであるトーンオントーンスタンピングについてご説明いたします。
・カラーペーパー
・カラーインク
・スタンプ
・(クリアスタンプを使う場合)アクリルブロック
実際にスタンプを使ってアルバムページの背景作りをする前に、市販のスクラップブッキング用ペーパーのセットをご覧いただいてコンセプトを確認いたしましょう。
ベージュのペーパーにさまざまな色のモチーフが散らされたこのパターンペーパーは、トーンオントーンの定義には当てはまりません。ピンクやグリーンといった、ベージュとは別の色相のカラーが使用されているからです。
このペーパーも、同じ理由でトーンオントーンの柄ではありません。
こちらはどうでしょうか。薄いオリーブグリーンにワントーン濃いオリーブグリーンの模様が重なり、まさにトーンオントーンの条件を満たしています。
こちらはいかがでしょうか。グレーのベースに同じ色相のホワイトがかったグレーのアラベスク模様。これもトーンオントーン配色の良い例です。
複数の色柄がセットになったスクラップブッキング向けのペーパーパックや冊子には、華やかなパターンだけでなく、地味で控えめなトーンオントーンタイプのものも必ず含まれています。両面プリントだと、片面がカラフルなメイン級、反対側がモノトーンのサブ級の絵柄となっていることも多いです。
これには理由があります。情報量の多い写真を乗せる時、色数の多いペーパーを合わせるとしつこい印象になってしまうことがあるのです。春のテーマもお花の色もマッチしているけれど、このペーパーではせっかくの写真が埋もれてしまいます。
トーンオントーンのペーパーに乗せてみるとどうでしょうか。背景がすっきりして、写真のお花の躍動感のある枝ぶりがより際立ちます。これなら、街歩き中に見上げて「春が来た!」と思わずカメラを向けた時のうれしい気持ちが蘇るようなアルバムページが作れそうです。
手持ちの材料と道具を使ってトーンオントーンのパターンペーパーを作ります。成功のカギは3つ。ひとつめは、本番の前にペーパーの切れ端で必ず試し押しをすること。
カラーペーパーには最初から色がついているため、当然白のペーパーにスタンプするのとは発色が違います。単に濃く見えるだけではなく、黄みや青みが強く出たりスモーキーになったりと、思いがけない結果になることもよくあります。
似たような色のインクを複数お持ちなら、いくつか候補を挙げて試されると良いでしょう。
2つめのポイントは、どのインクを採用するか即決せず、時間を置いてから確認すること。ペーパーに染み込むダイインクを使う場合は特に大切です。
上はスタンプした直後、下は半日経ったもの。左端のPink Peonyは、最初はややピーチ系なのに時間が経つと青みが増し、若干濃くなっています。右から2つめのオキサイドのSpun Sugar(ダイとピグメントのハイブリッドインク)は、初めはちょうど良い薄さかなと思っていましたが、半日経ったらほとんど見えなくなってしまいました。
使うペーパーの上でインクを試し、半日くらい置けば判断がつくでしょう。押した直後はまだら感がちょっぴり気になったけれど時間が経ったらきれいに馴染み、ほんの少し黄みが増して温かみも加わった右端のディストレスインクのSpun Sugarを採用することにしました。
3つめは、スタンプでランダムなパターンを作る時の成功のカギです。仮留めテープとスタンプを入れたいペーパーより少し大きいペーパーを用意します。
ペーパーの裏にテープのりを引きます。
ペーパーに固定します。
スタンプはどこから入れてもOK。私は真ん中から外側に向かってスタンプすることが多いです。
自然に散らしたような印象にするためスタンプの向きを変えますが、手首の角度を変えるのではなく…
スタンプを持った手はそのままに、ペーパーを回転させるのです。これでペーパー全体の見通しが良くなり、不自然な角度で力を入れて手首をひねってしまう心配もありません。
ペーパーの端はわざとモチーフがはみ出すようスタンプすると、広がりが出てより自然に仕上がります。
トーンオントーンのパターンペーパーのできあがりです。部分的にぷつぷつとまだらになっていますが、明日写真を貼る頃にはインクがすっかり吸い込まれて均一になり、色味も少し変わって好みのペーパーになっていることでしょう。
茶系でも作りました。押した瞬間は黄色に見えた右から2番めのAntique Linenが半日後には良い感じに。
黄色は右から2番めのYou Said What?に決めましたが、左端のSoft Vanillaもこれはまたこれで使い道のあるパターンペーパーができるかも。
ブルー系は、断然左端のSpeckled Eggが好みです。
発色はインクだけでなく、ペーパーの色や厚さ、質感によっても違ってきます。お手持ちのペーパーでお試しになってからお決めになると良いでしょう。
華やかさはないけれど、カードの背景やアルバムページの土台に大変重宝するトーンオントーンのパターンペーパー。カラーのカードストックに同じ色のインクでスタンプすることで簡単に自作できます。
トーンオントーンのパターンペーパーを上手く作るコツは、使う予定のペーパーの切れ端で試し押しをすること。白のペーパーとは発色の仕方が違うので、確認のために実際にペーパーとインクを合わせてみることが大切です。
また、インクがペーパーに吸収されることによって色味や濃さが変わることがあるので、すぐに決めず、半日くらい経過してから再び確認するのも成功のカギ。せっかく作ったのに翌日見たら薄過ぎて模様が見えない、なんて失敗が防げます。
ランダム感のあるパターンを作りたい時は、スタンプを持つ手をひるがえすのではなくペーパーを回転させます。スタンプが押しやすくなるだけでなく、仕上がりも自然になります。
お手持ちの材料で手軽に作れるトーンオントーンのパターンペーパー。カードの背景に、アルバムページの土台にと、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。