目次
- 1.材料と道具
- 2.作り方
- 3.まとめ
エンボスパウダーを振りかけて熱で定着させると、その部分は防水加工されます。防水、つまりインクや絵の具を弾くので、使うペーパー、パウダー、メディアの色によっては画像がふっと浮き上がるような印象に。この性質を利用したスタンプテクニックが、レジスト(resist)というものです。
アイルランドの祝日、聖パトリックの日(St. Patrick's Day)にちなんで、グリーンのウォーターカラーウォッシュでフレーズを浮き上がらせるエンボスレジストテクニックを使ったカードを作りました。
聖パトリックの日は、3月17日。アイルランドにおけるカトリック布教に貢献した聖人パトリックを讃えるお祭りです。アメリカは祝日ではありませんが、各地でイベントが行われます。私の住むサンディエゴでも、毎年3月17日にいちばん近い土曜日にパレードがあり、アイルランド系の人たちもそうでない人たちも、カトリック教徒もそうでない人たちも、皆グリーンの服を着てアイリッシュビールを飲んでお祝いします。
私はアメリカに来るまで聖パトリックの日の知識がなく、ある日登校したらクラスメートのほとんどが緑色の服やアクセサリを身に着けているのを見て不思議に思ったものでした。スーパーでは1週間位前からブリスケット(肩バラ)というコーンドビーフ向けの部位とキャベツがセールになり、アイルランドの国花でありカトリックの三位一体の象徴であるシャムロック(クローバー)の形のお菓子が出回るので、今では毎年忘れることはありません。
クローバーは素敵なモチーフですし、好きな色がグリーンという人も意外と多いので、時期だけ合わせて宗教的、歴史的な意味合いを持たないカード作りにもぜひ取り入れたいところ。緑の固形絵具のウォッシュ(お水たっぷりで塗る技法)と「lucky」というクローバーを連想させる言葉でさりげなく聖パトリックの日を意識したカードの作り方です。
・スタンプ
・クリアスタンプを使う場合は、アクリルブロック
・静電気除去剤(あれば)
・エンボスパウダー(ホワイト)
・エンボスインク
・ヒートツール
・水彩画用紙
・絵具(緑系)
・水筆ぺん
・テープのり
・2つ折りカード
・綿棒
シャムロック(クローバー)は、幸運のシンボル。「Lucky」という言葉が入ったフレーズでカードを作ります。
カードのマットサイズ(4x5.25インチ)にカットした水彩画用紙の表面に、パウダーツールを擦ります。こうすることで静電気を防ぎ、余計なところにエンボスパウダーが付きにくくなります。
クリアスタンプをアクリルブロックに貼り付けます(詳しくはこちら)。
スタンプのデザイン面がインクパッドより大きい場合は、スタンプを台においてパッドを伏せるように手で持ってポンポンとインキングするとうまく行きます。
ペーパーにバランスよくスタンプします。
エンボスパウダーを振りかけます(詳しくはこちら)。
真ん中に折り目をつけたペーパーの上で作業すると、払い落としたパウダーを瓶に戻しやすくなります。
静電気除去剤を擦っているので余計なところにパウダーは付いていませんが、もしも気になる部分があれば乾いた筆の先などで擦って落とします。
ヒートツールで加熱し、エンボスパウダーを溶かして定着させます。
ウォーターカラーウォッシュとは、たっぷりのお水で溶いた絵具を一定方向にペーパーに塗り、グラデーションを楽しむ絵画技法です。色を入れる前にペーパーの表面をお水だけで擦っておくと、私のようなスキルのないクラフターでも比較的上手にできます。
少量の絵具とお水を混ぜ、水筆ぺんにたっぷり取って左右に擦ります。ヒートエンボスした部分がお水を弾き(レジスト)、文字が現れました。これが楽しいのです。
乾かないうちに別のグリーンを少し混ぜ、さりげなくグラデーションにしました。
仕上げにスプロッチを。筆先に絵具を含ませた状態で、反対の指にトントンと叩いてしぶきを飛ばしてわざとしみや汚れをつけます。
自然に乾燥させるか、ヒートツールを使って絵具を乾かします。
ヒートエンボスした文字の上で乾いた絵の具は、水で湿らせた綿棒などで擦ると簡単に落ちます。
裏側にテープのりをつけます。お水たっぷりの絵筆で色塗りをしてペーパーが歪んでいる場合は、広範囲をのり付けします。
2つ折りカード(作り方はこちら)の表紙に貼り付ければ…
出来上がりです。
お花やどうぶつさんなどの絵柄ではなく、色合いのみを楽しむシンプルなウォーターカラーウォッシュのカードを作りました。聖パトリックの日が近いので、アイリッシュカラーのグリーンで、クローバーを連想させる「Lucky」の入ったフレーズを使っています。
色をつけてからスタンプを入れてももちろん良いですが、先にヒートエンボスすることで防水効果を活かしたレジストテクニックもなかなか楽しい作業です。仕上げに絵具のしぶきを散らして、さらにオーガニックな印象に。
お好きな色のグラデーションでぜひ試してみてください。