目次
- 1.材料と道具
- 2.作り方
- 3.まとめ
真っ白なキャンバスにポンポンっとスタンプを押して仕上げるシンプルなカードがいちばん好きですが、ふんわりと背景にインクを入れてまとまりをよくすることもあります。
スポンジ素材のインクブレンディングツールやブラシなどでぼんやりと着色するのはカードメイキングではよく使われるテクニックですが、実は私はあんまり上手ではありませんでした。使っているツールは有名なカードデザイナーさんたちがみな愛用しているものと同じだし、ペーパーもインクブレンディングに適していると言われる水彩画用紙です。
なかなか上達しなくて困っていましたが、ディストレスオキサイドというちょっぴり特殊なインクに出会って劇的に綺麗に作れるようになりました。
ディストレスオキサイドにはさまざまなユニークな特徴がありますが、ダイインク(染料ベース)とピグメントインク(顔料ベース)のハイブリッドというところがインクブレンディングに有効なのではないかと思います。
ダイインクには速乾性があるため、最初にペーパーに触れたところにすぐに染み込んでしまい、インク量をうまく調整しないとまだらになってしまいます。濃い部分と薄い部分の境目がくっきりしてしまうのです。逆にピグメントインクはペーパーに染み込まず、表面に乗ったまま乾くのですが、粘度が高いためインクの伸びがよくありません。
両方の性質を併せ持つディストレスオキサイドインクは、適度にインクの伸びがあり、とても扱いやすいテクスチャーです。乾きの遅いピグメントインクのおかげで時間的な猶予も生まれるので、高度な技がなくても濃い部分と薄い部分をシームレスなグラデーションにすることができます。
ここでは1色の濃淡で作るぼかし背景をご紹介いたします。
・ディストレスオキサイドインク
・インクブレンディングツールまたはブレンダーブラシ
・ペーパー(水彩画やミックスメディア用紙が向いています)
サマーカードに仕上げる場合
・スタンプ(Car Vacation)
・アクリルブロック
・インクパッド
・ペーパー
・2つ折りカード
・テープのり
ディストレスオキサイドインクは、パッドの台とフタが薄いグレーのプラスチックでできています。ダイインクである元祖ディストレスインクはブラックです。
ステンシルにも便利なインクブレンダーブラシ(詳しくはこちら)を使います。
少量のインクから始める方が上手く行きます。ブラシの先にインクを取って…
ぼかしたいところの真ん中から外側へと、くるくると螺旋を描くように擦ります。
ふんわりとしたぼけが出来ました。さらに大きくしたい場合は、インクを付け直して…
足しますが、この時、すでに出来ているぼけの外側から始めるのは大NG!
すでにしっかりとインクがついていても、必ず真ん中からスタートします。
外へ外へとくるくる螺旋を描き、希望のサイズにしていきます。
きれいに丸く、自然にぼかせました。
インクブレンダーブラシがなければ、スポンジ素材のインクブレンディングツールでも出来ます。
インクはパッドにぐいっと押し付けて1回で取るのではなく、ぽんぽんと数回軽くたたく方が均等に少量付きます。
中央から外側へと、螺旋を描いてインクを擦ります。
ブレンダーブラシよりもぶつっと切れた印象を持たれるかもしれませんが…
インクを付け直し、再び中央から外側へと擦っていくとふんわりしてきます。
好みの大きさになるまで繰り返します。
丸くぼかした背景はアブストラクト扱いにすることが多いですが、オレンジのインクで作ったら…
落ちる寸前の大きな夕日のようになりました。
フレーズを入れて…
お花を足せば、こちらで作ったスタンプカードとまったく同じ構図なのですが…
背景のおかげでとってもドラマチックな雰囲気になりました。
上手く行ったり行かなかったりだったふんわり丸ぼけの背景作り。ダイインクとピグメントインクのハイブリッドであるディストレスオキサイドインクを使うことにより、失敗を恐れずにカード作りに取り入れられるようになりました。
難しい加減やテクニックは要りませんが、覚えておくべきポイントが2点。ひとつは、ブラシやスポンジにインクを取りすぎないこと。少量のインクを何度も付け直しながら広げていく方が自然に仕上がります。
もうひとつのポイントは、ぼかしたいエリアの真ん中からスタートすること。インクを付け直して2回め、3回めと繰り返す時も、インクが切れたところから始めるのではなく、いったん中央に置いてそこから螺旋状にくるくる回しながら外側へ持っていきます。これさえ守ればどなたにも綺麗なぼかし背景が入れられます。
ディストレスオキサイドインクは、通常のスタンプインクとしても、絵筆を使った水彩画風の着彩にも向いています。魅力いっぱいのハイブリッドインク、ぜひ試してみてください。