目次
- 1.材料と道具
- 2.作り方
- 3.まとめ
かぎ針を使った細編みでつくるエコたわしがすっかり気に入っていましたが、ふと「棒針で編んだらどうかしら?」と思って試してみたところ、弾力といい、絞りやすさといい、ガーター編みが最適!お皿洗いに大変使いやすく、少し大判に作ったものはキッチンまわりのお掃除にも便利なクリーニングパッドになりました。
基本のガーター編みのご紹介です。
・アクリル毛糸
・棒針
・糸切りバサミ
・とじ針
出来上がりサイズの幅の3、4倍の長さのところに、調節可能なループ(作り方はこちら)を作ります。私は15cm幅に仕上げるので、糸端から50cmほどのところにループを作りました。
ループに棒針の先を入れます。
毛糸の玉から出ている糸が向こう側に…
切った糸端が手前に来るようにします。
左の手で両方の糸を掴んで…
上から人差し指と親指を差し込みます。
指を開いて…
くるっと上に向けます。
親指にかかっている手前側の糸を、下からすくって…
針先を人差し指の方へぐいっと移動させます。
人差し指にかかっている糸の下に針先をくぐらせて…
指にかかっている糸と糸の間に持ってきて…
そのままさらに針先を移動させて、親指にかかっている糸の間に通します。
針先をくるっと上に向けて…
指にかかっている糸を外します。
垂れている2本の糸を親指と人差し指にかけて開くような感じで軽く締めます。あまりぎゅうぎゅうにすると1段めを編む時にきつくて針先がうまく入らないので、ゆったりめを心がけます。
最初に作ったループがひとつめの編み目になるので、これで2目です。
そのまま指をくるっと上に向けて、次の目を作ります。
親指にかかっている手前側の糸を、下からすくって…
針先を人差し指の方へぐいっと移動させ、人差し指にかかっている糸の下に針先をくぐらせて…
そのままさらに針先を移動させて、親指にかかっている糸の間に通します。
ループが3つになりました。
指から糸を外します。
人差し指と親指で開くようにループの根本を軽く締めます。
指をくるっと上に向けて、4つ目のループを作ります。
これを繰り返し、希望の目数を作ります。私は25目作りました。
これを作り目と呼びます。かぎ針編みでいうと、最初のくさり編みに相当します。ちなみに英語では、キャストオン(cast on)と言います。
ここまではどのスタイルの編み方でも同じですが、この先は2つの方式に分かれます。英語では「イングリッシュ」(English、イギリス式)と「コンチネンタル」(Continental、大陸式)という名称ですが、日本では前者を「アメリカ式」、後者を「フランス式」と呼ぶようです。
私はアメリカに移住してから棒針編みを覚えたので、後で知ってこれには少々驚きました。私が知る2つの他に、また別の方式があるのかと思ったのです!アメリカではイギリス式で編む人が圧倒的に多いので「アメリカ式」と呼んでしまっても支障はないと思いますが、英語圏で「フランス式」と言うと勘違いされる可能性が高いです。フランス式ニット(French knitting)と言ったら、日本で言う「リリアン編み」を指すからです。
大陸、つまり島国イギリスの対岸のヨーロッパ大陸で普及した編み方のことを言うので、他には「ジャーマン」(German、ドイツ式)などの別称もありますが、フレンチとはまず呼びません。おそらく日本だけで通じる特殊な編み物用語ではないかと思います。
私はアメリカ式(イギリス式)で編んでいますので、ここでもその手法でご説明いたします。
作り目をかけた棒針を利き手の反対(私は右利きなので、左手)で持ちます。毛糸玉は、右側に置きます。
利き手でもう1本の棒針を持ち、手前側から最初のループの根本に針先を差し込みます。
2本の針先をクロスさせた状態にします。
利き手で糸を持ち…
突き刺した針先の向こう側へ回します。
時計と反対まわりにぐるりとかけて…
下に向けて引っ張ります。
右手の針を引き下ろし…
先ほどぐるりとかけた糸をキャッチさせながら左手の針の前に持ってきます。
2つめのループを指で押さえ、ひとつ目のループを左手の針から外します。
2つ目を編みます。針先を最初のループの根本に差し込んで…
突き刺して2本の針をクロスさせます。
糸をつまんで…
左手の針の向こう側へ。
時計と反対まわりにぐるりと巻きつけて…
下に引っ張ります。
今かけた糸をキャッチさせながら右手の針を手前に持ってきます。右手の針を下げるときに左の人差し指で針先を押して補助すると、糸が外れる失敗が防げます。
右手の針を手前に出すと、右手の針にループが2つになっています。
次のループを指で押さえ、右手の針を左手の針から外します。
糸を利き手の小指にかけておくと、常に適度に張った状態になり、とても編みやすくなります。
これを24回繰り返し、最後のループにきました。
ここも編み方は同じです。ループの根本に右の針先を差し込んで突き刺し、2本の針をクロスさせ…
糸を時計と反対まわりにぐるりとかけて…
糸を下に引っ張り、右の針を左の人差し指で押し下げ…
かけた糸をキャッチして左の針から外します。
1段めを編み終えると、作り目をした左手の針はフリーになります。
右手の針には25目の作り目と、1段め。
右手と左手の針を持ち替えて、左に編み地、右にフリーの針の状態から、2段めを編み初めます。
編み方は、1段めとまったく同じです。
25目編み、2段めを編み終えたところです。
編み進めると、こんな模様になってきます。V字が並ぶストッキネット編み(メリヤス編み)ももちろん素敵ですが、ガーター編みのこの感じもいかにも手編みっぽくてあたたかく、私は好きです。
大判のエコたわしが欲しかったので、18cmの長さになるまで編みました。
編み終わりを綴じます。最初の2つの目は普通に編み、右手の針にループが2つある状態にします。
左手の針の先で、右手の針の右端(針先から遠い方)のループを引っ掛けます。
もうひとつのループ(針先に近い方)に被せるようにしながら針先の方に持っていき、右手の針から外します。
右手の針を深めに差して安定させ…
左手の針にかけた糸を外します。2つあった右手の針のループがひとつになりました。
次は、普通にひとつ編みます。
右手の針のループがまた2つになりました。
針先から遠い方のループを左手の針の先にかけて…
もうひとつのループの上に被せるようにしながら右手の針から外します。
これを繰り返して反対の端まで編み綴じます。
最後には、右手の針にループがひとつ、左手の針はフリーに。処理できるくらいの長さを残して糸をハサミでカットします。
右手の針に残っている最後のループの中にカットした糸端を通して…
引っ張ります。
これで解けません。
糸端はとじ針で処理します(詳しくはこちらへ)。
掃除用具のフックにかけられるよう、くさり編みのループをつけました(付け方はこちら)。
大判エコたわし・クリーニングパッドの出来上がりです。とても気に入り、すでに色違いも編んでいます。
かぎ針編みばかりの時は、「ハードルが高そう」とちょっぴり憧れを持って敬遠していた時期もある棒針編み。実際にやってみたら簡単で、夢中になってマフラーや帽子などたくさん編んだものです。
文中で触れたイングリッシュスタイル(アメリカ式)とコンチネンタルスタイル(フランス式)は、編み方は違っても編み上がりの作品は同じです。どちらがより早く編めるか、より手が疲れないか、よりきれいに編めるか…などなど、たびたび論議の対象になりますが、最終的には人それぞれ、という結論になるようです。
初心者さんは、偏見を持たずにとりあえず両方の方式でトライしてみると良いと思います。長年フランス式派さんも、冷やかし半分でアメリカ式を試してみると新しい発見があるかも?アメリカ式は右利きニット方法(right-handed knitting)の別名もあるくらいなので、やってみる価値ありかもしれません。