目次
- 1.材料と道具
- 2.使い方
- 3.まとめ
ここ数年アメリカで流行したハンドメイドのジャンルと言えば、パンチニードル。目新しいようで、実は19世紀後半あたりから確立されているクラフトです。ラグフッキングと呼ばれる絨毯やマットなど大きめの敷物を作る手法と同じで、ルーツは中世ヨーロッパ、さらには古代エジプトの時代にまで遡るのだそう。
ここでは基本の道具とその使い方をご紹介いたします。
・ニードル
・糸通し(ワイヤー)
・布地(モンクスクロス等)
・刺繍枠
・ハサミ
・毛糸(ウールを使用)
ニードルにはさまざまな素材とサイズがありますが、基本的には同じ設計です。本体の中が空洞になっていて、糸(毛糸)を通して使います。
糸は、ウールが最も使いやすく、特にロービングヤーン(roving yarn)と呼ばれる繊維の束を捻ったタイプの毛糸が向いています。
3〜4本の束が撚り合わせられた通常のウールでももちろんOK。
コットンやアクリルなど、ウール以外の素材でも可能です。
ワッペンなどには刺繍糸のような細い糸も使います。
パンチニードルが上手くいくかどうかは、ズバリ、使う毛糸の太さや密度とニードルのサイズがマッチしているかどうかにかかってきます。太いウールには、太いニードルを…
細い刺繍糸には細いニードルを合わせます。
パンチニードルには、目が粗く、マス目が見えるタイプの布地が適しています。このマス目とマス目の隙間に針を刺して毛糸を固定するので、一旦開いた穴が閉じようとする性質のある素材が理想です。アメリカではモンクスクロス(monk’s cloth)と呼ばれるコットン生地が一般的です。
細い糸にはリネンも使います。
成功のカギは、糸、ニードル、布のマス目のサイズを合わせること。
ここだけ押さえれば、まず失敗はありません。
刺繍枠は普通のもので十分ですが、ニードルを刺す衝撃が大きく通常の刺繍をする時よりも弛みやすいので、綾テープを巻いて(巻き方はこちら)滑り止めをしておくと良いでしょう。
枠の側面が溝になっているノンスリップタイプの刺繍枠も効果的です。
ニードルに毛糸を通します。
毛糸の先をニードルの後ろから差し込むのですが、通しにくい場合は…
糸通しを使います。糸通しと言っても、ワイヤーを2つに曲げただけのものでOK。
ニードルの先から曲げたワイヤーの輪の部分を差し込みます。
ニードルの後ろから出したワイヤーの輪に毛糸を通します。
ニードルの先からワイヤーを引っ張って…
毛糸の先を引き出します。
ニードルの先には、穴があります。毛糸の先をさらにここにも通す必要があります。
入りにくければ、ワイヤーを使って通します。
これでニードルと毛糸のスタンバイはOKです。
布を刺繍枠にセットします。
布を引っ張り、ピンと張った状態にします。
ネジを締めれば準備完了です。
ニードルには、向きがあります。断面が見える側を進行方向に向けます。
布のマス目とマス目の隙間に最初のひと針を刺します。均等なステッチを入れるには、いくつかのポイントがあります。ひとつめは、布に対してなるべく垂直に刺すこと。
ふたつめは、針の根元の止まるところまでしっかりと刺し切ること。半端だと、ループの高さがバラバラになってしまいます。
3つめのポイントは、針を上げるときに針先を布につけた状態を保つこと。これ以上は持ち上げません。
針先を布につけた状態で、滑らせるように次の穴に差し入れます。布のマス目のサイズや毛糸の太さ、密度などによりますが、すべての穴ではなく、2、3穴おきに刺すと上手くいきます。
次の列をステッチする時は、針の先を布に刺した状態で…
フレームごと回転させて方向転換します。
針の断面が見える側を進行方向に向けます。
ぎっちり詰めるのではなく、1列か2列離したところをステッチするときれいになります。私はステッチをオフセットにしていますが(最初の列のステッチの真ん中の下が次の列のステッチの始まりになっていて、煉瓦を積み上げたようなパターンになっています)、お好みで揃えてもOK。
5列ステッチしました。
裏側はパイル(ループ)状になっています。
やり直しが簡単なのも、パンチニードルの良いところ。毛糸を引っ張って抜いて…
布の穴を指でならします。
ニードルの後ろから毛糸を引いて、針の先の弛んだ糸のテンションを戻せば…
刺し直しができます。
刺し終わりの処理です。パイル(ループ)側を表として使いたい場合は…
ステッチ側に残した毛糸をカットします。
指でならします。作品によってはアイロンで貼る接着芯やボンドで処理をする場合もありますが、大抵の場合は毛糸が抜ける心配はありません。
ステッチ側を表として使う場合は、少し余裕を持たせて毛糸をカットした後…
裏(パイル側)から引っ張って…
毛糸の先を出します。
パイルの高さに合わせて毛糸をカットすれば処理終了です。
人気のクラフト、パンチニードルの基本の道具と使い方をご紹介いたしました。難しいことはないのですが、針、布、そして糸のサイズがすべてマッチしていないと上手く行かず、そこで挫折してしまう方も少なくないようです。試行錯誤するより、キットなどを利用するのが近道かもしれません。
布に対してなるべく垂直に針を刺す、針の根元までしっかり刺し切る、上げるときは針先を布につけた状態を保つ、というポイントを押さえれば、リズミカルに楽しくステッチすることができます。
コースターや鍋敷きなどの小物からスタートして、クッションカバーやラグなど、お部屋のインテリアにもなる大物にもチャレンジしてみましょう。