目次
- 1.材料と道具
- 2.ウッドマウントのラバースタンプ
- 3.クリアスタンプ
- 4.クリングスタンプ
- 3.まとめ
カード作りにスクラップブッキング、手帳にコラージュにと、スタンプを使ったペーパークラフトは日本でも人気があります。特に趣味として楽しんでいるわけでなくても、ひとつやふたつ、どなたの机の中にも潜んでいるのではないでしょうか。
スタンプと言ったら木の持ち手の付いた事務用品にもあるようなものを連想される方が多いと思いますが、アメリカのカードメイキング界ではもう随分前から主流は変わっています。ここ数年、日本の100円ショップでも見かけるようになったクリアスタンプというものです。
スタンプを使ったクラフトは何度もマガジン記事の題材として書いてきましたが、ここでは改めてその種類と使い方、そしてそれぞれのメリットやデメリットを比較いたします。
・ウッドスタンプ
・クリアスタンプ
・クリングスタンプ
・アクリルブロック
・インクパッド
・ペーパー
スタンプと言ったらやっぱりこれ!でしょうか。木の持ち手(ウッドハンドル)にマウントされた、クラシックな姿のスタンプです。
デザイン面は、硬めのゴム(ラバー)で出来ています。
サイドに窪みのついた、グリップの良い設計の気の利いたウッドスタンプもあります。
よく見ると、ウッドの持ち手とゴムのデザイン面の間にスポンジの層があります。これのおかげで押した時に圧力が均等にかかり、経験やテクニックがなくても誰でも比較的きれいにスタンプできるのがこのタイプの利点のひとつです。
使い方は簡単。ウッドの持ち手をしっかり握り、インクパッドにポンポンと軽く叩くようにしてインクをつけます。
真上から垂直に押し付けるようにスタンプします。
猫さんの髭やお腹の模様など、細い線も潰れることなくきれいにスタンプできました。
押しやすさやラインの表現などは申し分のないウッドスタンプですが、不便な点もあります。持ち手が木製のため、スタンプの位置がずれることがあります。先にスタンプした猫さんにアイスクリームを持たせたい場合など、憶測仕事になってしまいます。
ギリギリ近づけたつもりでも、案の定ギャップができてしまいました。
でも、解消方法もあります。スタンプポジショナーキットというツールを使えば、ピンポイントで確実に押したいところにスタンプが入れられます(使い方はこちら)。
個人的には一番好きなウッドスタンプですが、デメリットがもうひとつ。収納に場所を取るところです。それぞれに木の持ち手がついているため、とにかくかさばります。必要なものを探しやすいよう薄いプラスチックの収納ケースに入れていますが、これだけで棚を1段占領してしまいます。
これ以外にもクリスマスデザインのスタンプや缶や箱入りのセットのものも数多く持っており、私のクラフトルームのクローゼットでは布よりも毛糸よりもスタンプが大きな顔をしています。
そして、お値段。ウッドスタンプはお得なセット売りになっている場合もありますが、大抵は1個売り。数百円から、大きなものでは千円を超えるものも少なくありません。それでも高級ジュエリーやブランドバッグなどにあまり興味のない私は割り切って、本当に気に入ったものを少しずつコツコツと集め、コレクションも楽しんでいます。
アメリカのカードメイキングやスクラップブッキングにおいて主流となっているのが、このタイプ。クリアスタンプです。初めてクラフトストアで見た時は、いったい何かと思いました。使い方も想像できなかったのを覚えています。
透明のフォトポリマー(樹脂)で出来ているクリアスタンプは、薄いフィルムの間に挟まれています。
クリアスタンプのピースを、フィルムから剥がします。このままでは使えません。
アクリルやプラスチック、ガラスなど、硬くて平らな面のあるブロック状のものに貼り付ける必要があります。条件を満たしていれば何でもOKではありますが、クリアスタンプ用に別売りされている専用のアクリルブロックはサイズや形などが使いやすい設計になっています。
フォトポリマー自体がペタペタとした素材なので、接着剤を使わなくても、水で濡らさなくても、アクリルブロックに吸着するようにピタッと貼り付きます。
これで、ウッドの持ち手のあるラバースタンプと同じように使えます。
クリアスタンプもアクリルのブロックも透明なので、インクが付くのが見えるのが良いところ。インクのつけ残しやかすれが防げます。
そして、ペーパーの狙ったところに押せるのがクリアスタンプの醍醐味です。お花の位置や角度など、思い通りに微調整できます。
葉っぱもお花ぎりぎりまで近づけられます。猫さんにアイスクリームを持たせるのも、クリアスタンプなら楽勝だったはずです。
ウッドスタンプの場合スタンプポジショナーキットを繰り返し使いながら位置を決めていくところ、クリアスタンプならスイスイとアレンジ可能です。
シースルーなので、インクを部分的に付けるというこんな技も。3つ並んだお花のうちの2つにだけインキング。
クリアスタンプならではの使い方です。
フレーズを入れる位置も、全体バランスを見ながら決められます。
行き当たりばったりでも、こんなアレンジメントが簡単にできました。
クリアスタンプのもうひとつの利点は、あらかじめピースをブロックに複数貼り付けてデザインしてから押せるところ。「grateful」と「for you」を別々にスタンプしてもいいけれど、ここでは「grateful for you」と先に並べています。
こういったプリアレンジは、特にアルファベットやひらがな、カタカナなどのスタンプセットに有効です。お名前入れも楽々です。
そして何と言ってもコンパクトさ!持ち手がなく薄いので、収納場所を取りません。30セットもこんなに小さくまとまります。ウッドスタンプだったら、引き出し2つ分くらいのボリュームになることでしょう。
そして、ウッドスタンプと比較した時にコンパクトさと同じくらい魅力なのが、お値段です。クリアスタンプは、ほぼすべてセット売りになっています。スタンプの個数や大きさではなく、シートのサイズで値段が決まります。ミニサイズのシートは3x4インチ(約7.5x10cm)。これにクリアスタンプがぎっしり並んで1000〜1200円くらいです。レギュラーサイズのシートは4x6インチ(約10x15cm)で、こちらは2000円前後。
メインのお花に複数の選べるフレーズ、背景に散らせるような小さなピースもたくさん入ったテーマのあるこんなセットも、1800円で手に入ります。ウッドスタンプだったら、おそらく3、4個しか買えないことでしょう。
クリングスタンプは、言ってみればウッドスタンプとクリアスタンプのハイブリッドみたいなもの。両方の利点を兼ね備えた、いいとこ取りのスタンプです。
クリアスタンプのように、シートに貼りついた状態になっています。
デザイン面は、ウッドスタンプ同様、ゴム(ラバー)でできています。
スポンジ素材との2層構成になっているので、圧力が均等にかかってきれいに押せます。
スポンジ素材の表面は、ペタペタしたクリング加工がされています。
クリアスタンプのように、接着剤なしでピタッとアクリルブロックに貼り付きます。
スポンジ層もあるので、使い心地はウッドスタンプとまったく一緒。
だけどアクリルブロックが透明なので、ある程度の位置の確認ができるのです。
さすがラバースタンプ、ちっこい鳥さんの極細のラインもくっきりはっきり表現できました。
ウッドスタンプと同じように使えるのに、持ち手はないので本体は薄型なのが良いところ。これなら増やしてもかさばらず、クリアスタンプのように立てて引き出しに収納できます。
お値段もクリアスタンプに近く、クリングスタンプはメリットいっぱいです。
他にも、アンマウントスタンプと呼ばれるスポンジ層のないラバースタンプや土台にはめ込むタイプ、ローラースタンプなどがありますが、今のペーパークラフト界ではウッドスタンプ、クリアスタンプ、そしてクリングスタンプの3種類が最も多いかと思います。
メリットとデメリットを知って、目的や好みに合わせて選んだスタンプを使ったクラフトを楽しみましょう。
スタンプと言っても、素材やサイズ、用途などによってタイプは様々。ここでは素材に絞って比較し、使い方とメリット、デメリットをご説明いたしました。
それぞれの良さを知り、上手く付き合えばどのタイプもきっと好きになることでしょう。カード作りに、アルバム作りに、手帳のデコレーションにと、スタンプをもっともっとクラフトに取り入れて楽しみましょう。